「臆病。」

考える時間、考え直す時間が与えられる。
多分メールがまだなかったから手紙だっただけで
もしあればメールだったかもしれない。

でも手紙は本当に時間がかかった。

読むのも書くのも時間がかかった。

僕も君も必ず「手紙は苦手だけど」と前置いて、
でも必ず一生懸命書いた。

その時間を思い出と言うのだと思う。

「それでも。」

「君に届け。」

「君に届け」が流行っていた頃に、
ぽろっと「風早くんてそのうちヒモになりそう」と授業で言ったら
女子生徒に死ぬほど怒られたことを思い出した。

「ヒカル。」

本人の字シリーズ。

手紙の字は子供の字だった。
実際に会ってみると思いのほか大人びていて、
でも子供っぽいところは子供で、
僕はやっぱり困惑し、ため息をついた。