家内ちゃんは勢いよくひき肉を台に叩きつけ、激しく食材を飛び散らせながらダイナミックにハンバーグを作る。夫は散らかった台所を黙々と掃除しながら、家内ちゃんに本来の野性的な勢いが戻ってきていることを見守る。体重計に乗せて少し体重が増加したことを確かめた夫は、家内ちゃんを両手で抱えて運んでいく。 家内ちゃんは安心しきった穏やかな様子でぴったりと体を預ける。夫は溜まった食器を洗いながら、壮絶な人生や天才性などなくとも今日と同じ明日が訪れてほしいと心の中で願う。昔は綺麗事だと反発した谷川俊太郎の詩を口ずさみ、生きている実感とその尊さが心に染み渡るのを静かに噛みしめる。



