夫は棚から一冊の画集を手に取ってページをめくり、学生時代に全国の美術館を巡って買い集めた品だと振り返る。しかし自宅に保管しておく場所がないため、本当は惜しいもののこれらを処分してしまおうと声に出して呟く。布団の中でその呟きを聞いていた家内ちゃんは、スクッと勢いよく体を起こして床に積まれた画集へと向かう。 家内ちゃんは積まれた画集の匂いをくんくんと嗅ぎ、そのまま本の上に覆いかぶさって顔をごしごしと擦りつける。これは夫の大切な思い出の品だからすごく大事なのだと主張し、画集の上に頭をぴったり乗せて離れようとしない。夫がその様子を黙って見つめる中、家内ちゃんは自分の持ち物だけでなく夫の大切な思い出の品も大事に扱う。


