夫は近々控えた入院費に五十万円が必要だと電卓を叩いて計算し、自身の食費をさらに切り詰めようと思案する。普段から業務スーパーの鶏むね肉や安いカスベばかり買っていることを思い返し、さらなる節約法を頭の中で巡らせる。その傍らで冷蔵庫の匂いを嗅ぎながら張り付いている家内ちゃんに気づいた夫は、何を見ているのかと疑問を投げかける。家内ちゃんは静かにするよう夫を制し、凍り始めた絶妙な瞬間のフルーチェを見極めて食すのが勝負なのだと語る。 だが家内ちゃんは目当ての瞬間を迎える前に限界を迎え、椅子の上でよだれを垂らしたまま完全に熟睡してしまう。夫は眠ってしまった家内ちゃんを優しく布団へ運び、専用の枕の上に頭を乗せて寝かせるとそっと頭を撫でる。


